3歳児ドキュメンテーション=3歳児の発達とその遊び
カテゴリー:保育ドキュメンテーション
今回の保育ドキュメンテーションでは、3歳児の発達とそれに合った遊びや園での取り組みについてご紹介させて頂きます。
保育所保育指針(以下指針)において3歳児の姿は、
【全身のバランスを取る機能が発達し、身体の動きが巧みになる。自然など身近な環境に積極的に関わり、様々な物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく。(中略)仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えてくる。その一方で、決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになってくる。】
と記載されています。
この時期の子どもたちは、身体のバランス機能の発達に伴い身体を使った遊びの幅が広がり、また周囲に関する興味・関心がますます強くなり、様々な物や人と関わる中で社会性を身に付けていきます。
ここでは、3歳児の発達の以下の側面に沿って、園で行っている遊びや取り組みの一部をご紹介していきたいと思います。
1.運動面 2.周囲への興味・関心の深まり 3.社会性
1.全身を使った運動あそび
身体のバランス機能の発達に伴い、2歳の頃に比べてよりダイナミックな動きができるようになるのがこの時期の特徴です。音楽に合わせて歩く・走る・止まるといった動作や、少し高い所からジャンプして降りること、また両足ジャンプや少しずつ片足ジャンプ(ケンケン)もできるようになってきます。
例1<ケンケンパ>
フラフープを用いて、両足ジャンプと片足ジャンプを併せたケンケンパ遊びをしています。両足ジャンプはしっかりと両足で踏ん張って地面を蹴って前進することでバランス感覚を養います。片足ジャンプは、片足を上げながら前進するという2つのことを同時にすることは大人の想像以上に難しいことですが、始めは手を添えたり、表現遊びの中で片足を上げてポーズをするなどといった簡単な活動から取り組んでいます。
例2<遊具あそび>
当園の園庭には鉄棒やジャングルジム、クライミングがあります。クライミングは昨年度の園庭改造工事により新たに設置されました。手指で支え、全身で踏ん張る力がつきます。
また、園内のみの活動に限らず園外に出ることもあります。当園近辺にはいくつか公園があり、また当園はコミュニティーセンター「エスポアール」に隣接しており日頃からの多くのご理解のもと公共施設を利用させて頂いています。
遊具あそびでは、自分の力で体重を支えるなど全身のバランス感覚が養われます。また、その遊びの中で子ども自身が危険や安全な遊び方を知ったり、友だちや地域の方と順番を守って遊ぶことなどを知る機会にも繋がります。
2.周囲に関する興味・関心の深まり
できることが増え、好奇心から何でも自分でやってみようという気持ちが強くなります。周囲の物や人に興味を持って積極的に関わり、楽しさを感じます。また興味や疑問に思ったことを言葉にできるようになることで、「なんで?」と質問を投げかける時期でもあります。
例1<探検あそび>
園庭は、昨年度の園庭改造工事により草木溢れる園庭へと生まれ変わりました。
それに伴い、季節ごとにさまざまな草花が咲き、虫や蝶、鳥などの生き物がやって来るようになりました。
その変化に最も敏感なのは子どもたちです。つぼみがなっていることに気づいて知らせたり、草をかき分け虫探しに夢中になったり、蝶を追っかけたりと自然に触れ合い興味を示す姿が多く見られるようになりました。
そこでの発見や驚きは子どもの脳をますます活性化させ、更なる探求心を育みます。
3.社会性の発達
3歳頃になると、友だちと一緒に遊ぶことの楽しさを感じるようになったり、簡単なルールが理解できるようになります。また、自分のことだけでなく家族や友達など周りの人の気持ちを察し、我慢することや心に折り合いをつけることを学んでいくのもこの時期です。
例1<ごっこあそび>
2歳頃まではぬいぐるみと1対1の見立てあそびが多いですが、3歳頃になると少しずつ友だちと一緒に役割を持って遊ぶ姿があります。しかしそれぞれの役割はまだ明確化されておらず、「お母さん」になる時もあれば「赤ちゃん」になることもあります。それらのイメージを大人が仲立ちとなって子ども同士で共有されるよう働きかけ、子ども同士の結びつきを促すよう援助しています。おままごとやお店屋さんごっこなどのごっこ遊びを通じ、身近な日常生活における役割を認識しながら場面に応じた言葉遣いを学び、お友達と一緒になって遊ぶことで社会性を身に付けていきます。
例2<ルールのある遊び>
鬼ごっこやだるまさんがころんだ、音に合わせて静止するストップゲームなど、簡単なルールのある遊びを行っています。簡単なルールが理解できるようになり、それに則って遊ぶことの楽しさを感じられるようになってくる3歳児だからこそ行える遊びです。簡単なルールであるからこそ徐々に子ども同士でも遊びを成立させることができます。その中で、互いの思いがぶつかり喧嘩になることもしばしばですが、その中で相手の気持ちを知ること、いつも要求が通るわけではないこと、自分の気持ちを抑えて心に折り合いをつけることを学び、社会性を育んでいきます。
以上、3歳児の発達やそれに合った遊びについてお話させていただきました。
運動面や周りへの興味・関心の深まり、社会性の発達と様々な面において日に日に成長が見られる子どもたち。
これからも、目の前の子どもたちの姿を捉え、今後のますますの成長・発達に繋がるような保育に努めて参りたいと思います。
【参考文献】
厚生労働省(2008)『保育所保育指針』
厚生労働省(2008)『保育所保育指針解説書』
無藤隆,萌文書林(2007)『事例で学ぶ保育内容<領域>人間関係』
多田 幸子,大田 紀子,井上 聡子,杉村 伸一郎(2009)「3歳児における保育者参加型ごっこ遊び : 事例分析を通した保育者の役割の検討」広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設『幼年教育研究年報』31,pp.47-54
(文責:保育リーダー 片山志織)