きずなカフェ保育の根っこ

 今回の保育ドキュメンテーションでは、子どもの「はう」「立つ」「歩く」といった運動や姿勢の発達は、あそびや生活を変化させ、生活空間を大きく変え、日々変化をしていく子どもたちの発達状況に応じた運動遊びの提供や保育者がどのように促し楽しむことができるのかを紹介させて頂きます。



 
 

保育所保育指針では「誕生後、母体内から外界への急激な環境の変化に適応し、著しい発達が見られる。首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、腹ばいなど全身の動きが活発になる。視覚、聴覚などの感覚の発達はめざましく、泣く、笑うなどの表情の変化や体の動き、喃語などで自分の欲求を表現し、これに応答的に関わる特定の大人との間に情緒的な絆が形成される。おおむね六か月から一歳三か月未満では座る、はう、立つ、つたい歩きといった運動機能が発達すること、及び腕や手先を意図的に動かせるようになることにより、周囲の人や物に興味を示し、探索活動が活発になる。」と記載されています。

 
 

0歳から1歳になる時期の成長発達は大きく、発達に応じて生活環境やあそびも常に変化していきます。運動あそびを通して「寝返り」「はいはい」「お座り」「立つ」「伝い歩き」「歩行」など子どもの状態に合った活動を十分に行う必要があります。言葉の理解や獲得もともなって、周囲の物や人に興味を示し、自発性、探索意欲が活発になる時期でもあり一人ひとりに合わせた活動をゆったりと行います。

 


ここからはクラスでの取り組みを紹介したいと思います。

*ふれあいあそび
赤ちゃんは、特定の保育者と十分な関わりを持つことで心の安定を図り、心地良さを覚えそのきずなが安全基地となり探索行動への興味を高めていきます。喃語を発した時に応答したり話し掛けたりするなど、応答的な環境がコミュニケーション機能の発育を促し、全身運動にもつながってきます。


<たくさんふれあうあそぶ>
・「一本橋こちょこちょ」
叩いたり、軽くつねったり、こちょこちょを行う。





<全身のくすぐりっこ>
全身色々な所をくすぐり行う。




<全身を動かすあそび>
・「おひざのうえでぴょんぴょん」
保育者の膝の上に立ちジャンプをするようにひざの曲げ伸ばし運動を行う。
・「バスごっこ」
保育者の足に座らせ、保育者は足を動かし子どもはおしりをぴょんぴょんと動けるように行う。





*探索活動を楽しむ
保育者の声掛けや話かけが分かり、喜んだり、それに応えようとしたりします。また、身近な大人との関係のなかで、自分の意思や欲求を身振りなどで伝えようとします。自分で動く楽しさ、喜びを感じ、周囲の物にも興味を示し、行動範囲が広がっていきます。



<みんなではいはい>
・大人も子どももみんなではいはいや腹ばいをしボールを転がし追いかけっこを行う。
大人の真似をしてあそぶことが多いのでおおげさに動きを見せ楽しさを伝えています。





*歩行の開始と言葉の獲得
歩行が始まると共に、手を使い、言葉を話すようになっていきます。つかまらずに歩けるようになり、押したり投げたりなど運動機能も増してきます。目の前に開かれた未知の世界の探索行動に心をそそられ、身近な人や身の回りの物に自発的に働きかけています。その経過で物を仲立ちとしたふれあいや、物の取り合いも激しくなり、その後の社会性や言語の発達にとても欠かせない人間関係が深まっていきます。歩き始めるという大きな発達で行動範囲を広げ、「自分でしたい」という欲求が深まりさらに探索行動が活発になります



<模倣あそび>
動物の模倣あそびをしながら、動物の鳴き声や動きを一緒に行うことでイメージ力も高め、そして四肢で身体を支えたり、歩くことで全身を動かす楽しさを知ることができます。



<障害物くぐり>
フラフープやトンネルを使いくぐることを楽しみながら十分にはいはいをすることができます。また障害物に恐怖感を持ち進むことが出来ない子どももいるが同じあそびを友達がやっていると興味を持ったり、真似をしようとする姿があります。



<山の登り降り>
小さな山をマットで作り登る、滑って降りる動きにも挑戦していきます。登るという行為には手足両方で支え合いながら前へ進むという二つの行為が必要となってきます。不安定な場所でのあそびにもなるのでバランス感覚も同時に養っていくことができます。

 
 







 この時期子どもは座る、はう、立つ、伝い歩きを経てひとり歩きに至りますが、その時々にそれぞれの動きや姿勢を十分に経験することが大切です。特にひとり歩きによって、視野が広がり、自由に移動できる喜びを味わい、好奇心が旺盛になり、さまざまな刺激を受けて生活空間を広げていきます。

このように自分の行きたい所に行けるという満足感はさらなる発達の原動力となっていきます。また、特定の大人との信頼関係による安全の基盤が出来ることで、探索活動が活発になります。

運動面の発達により自由に手が使えるようになることで、子どもが自ら触ってみたい、かかわってみたいという意欲を高まります。全身を動かし、手を動かすなかで、身近な物に興味や関心をもってかかわり、そのことによりさらに体を動かし探求意欲を高めていきます。

楽しいあそびの経験の中から子どもたちは学び成長していきます。
ですので私たちは子どもたちが何に興味を示すのか、面白がるのかを見極め遊びの提供や工夫をし、そして次の段階へと発達を促しています。

(文責:保育リーダー 岸本美菜)


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