きずなカフェ保育の根っこ

少しずつ友達や周囲の人への興味や関心が高まる1歳児。関わりたい気持ちがある一方で、言葉では上手くやり取りできず、関わり方が分からなくてトラブルに繋がることが保育の中でも多々あります。

そんなもどかしい気持ちを持つ子ども達に、大人がどのようにして介入すると良いのかを今回はご紹介させて頂きます。

保育所保育指針には、
「歩き始め、手を使い、言葉を話すようになることにより、身近な人や周りの物に自発的に働きかけていく。(中略)物をやり取りしたり、取り合ったりする姿が見られるとともに、玩具を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる。また、大人の言うことが分かるようになり、自分の意思を親しい大人に伝えたいという欲求が高まる。」

と、あります。

日常的に接している子ども同士では、同じことをして関わりを楽しむ一方で、玩具の取り合いをしたり、相手に対して拒否したり簡単な言葉で不満を訴えたりすることがあります。こうした経験の中で、大人の関わりとは異なる子ども同士の関わりが育まれていくのです。

当園での取り組みとして、

1.子ども同士の関わりをまずは見守る
トラブルになりがちだからといって常に大人が介入しないこと。

2.必要に応じて介入する
まだまだ大人の手助けが必要だということ。

3.ままごとなどの簡単なごっこあそびをする
遊びの中で得られることがたくさんあること。


上記3点を重点に置いて保育を行っています。

それでは、実際の写真と共に詳しくご紹介していきます。


1.子ども同士の関わりをまず見守る
 少しずつ言葉が広がり、言葉を使ったあそびややり取りを楽しんでいます。
この時、ただ見ているのではなく、その姿から「楽しいね。」等と子ども達の気持ちを代弁したり、あそびを広げます。代弁することで受け止めてくれていると子ども達は感じると共に、あそびが広がることで子ども達の想像性も広がります。



2.必要に応じて介入する。
 友達が持っている玩具に興味があり、強引に引っ張って取ろうとしてトラブルになりそうな場面がよく見られます。
この時、取ろうとした側の子どもには、「○○ちゃん(くん)が持っている玩具が欲しかったの?(欲しかったね。)」とまずはその子の気持ちを伺ったり代弁します。
次に、「貸して。」と言葉あるいはジェスチャーで伝えられるように促します。この時、大人が一緒になって行うことが大切です。
そして、元々あそんでいた側の子どもには「○○ちゃん、この玩具が欲しかったんだって。どうぞする?」と相手側の気持ちを伝えると共に譲ってあげられるのかを選択できるような声掛けをします。
大事なポイントは、本児の気持ちを代弁して受け止めることと、相手の気持ちを代弁して伝えること。また、相手側には本児の気持ちを伝えると共に、選択肢を与える声掛けをすること。
このやり取りの中で相手の存在に気付き始めていきます。



3.ままごとなどの簡単なごっこあそびをする。
 「○○のふり」や「○○のつもり」遊びを楽しみながら想像性を養っていきます。イメージが自由に行き交う面白さや楽しさを味わいながら、身近な大人や子どもとのやり取りが増えていくのです。
この時、子どもの発想を妨げないように見守ることと、一緒になって楽しむことが大切です。展開に行き詰っているようであれば「○○しているのかな?」等、新しい展開のきっかけを招く言葉掛けをしています。指示語ではなく質問にすることで、子どもの自由な発想を邪魔せずに援助することができるます。





全体的なポイントとしては、子どもに問いかけるように声掛けをしたりその時の気持ちを代弁することで、言語的なコミュニケーションの発達を促すと同時に受け止められているという実感に繋がります。

また、行動を共にしながら関心を共有することも大切です。子どもと一緒に行動することで、子どもの関心を理解したり体験したりすることができる場合が多くあります。
発見した感動を共に喜び、共同あそびを一緒に楽しむ機会は大人が子どもと行動を共にする中から生まれています。

今後も、一人ひとりに寄り添いながら優しい言葉掛けをし、子ども達の心が満たされるような保育を目指していきたいと思います。


(文責:保育スタッフ 高田里誉)


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