きずなカフェ保育の根っこ

 今回の保育ドキュメンテーションでは子どもの手差し、指差しに大人はどのように関わるかにより子どもが言語への関心を高めていくのかをご紹介させて頂きたいと思います。



 
 保育所保育指針では生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと。と記載されており

言葉が始まる前段階である手差し、指差しはもっとも大切な時期となります。この時期の大人の丁寧な対応をしていくことが言語への関心を高め、子どもの表情や感性を豊かなものにしていきます。

 


ここからはクラスでの取り組みを紹介したいと思います。


*共同注視

指差しをされた物を見ようとする姿。
「おはながあるよ」と花の方を指差すとそちらを見て、言葉を聞き取り指の動きを理解し行動を起こしています。大人が提案し色々な興味を広げています。絵本の中に出てくる動物に興味を持って欲しい場合、指差しを行い「ぞうさんだよ」と声を掛けるとその言葉を聞き行動を起こすので聞く力を養いながら子どもも指の方向にある物を見て言葉と絵が繋がりこれが「ぞう」という物なんだと理解していき、言葉との繋がりが出来ます。


*要求の指差し

欲しい物、行きたい方向などを指差して要求を表わします。言葉で伝える事がまだ出来ない子どもにとっては唯一大人へ要求する手段となる為、指差した物と同じ物を見つめ、子どもの伝えたかった事や、感動した事を言語化し共感しその繰り返しの中で「物に名前がある」「自分の思いが伝わること」を知らせ、言葉の獲得へと繋げています。自分の意思が出てくると今はこれがしたい、あっちへ行きたいなど指差しでその気持ちを伝えてきます。指が表している意味を理解してあげ気持ちを受け入れてあげる事で子どもも受け入れてもらえたと安心した気持ちを持つことができます。これが子どもとのコミュ二ケーションとなり受け入れてもらえる喜びとなります。


*可逆の指差し

「○○はどれ?」と聞かれた時に指差しで答えます。
言葉を基礎にしたやりとりが成立してきます。大人の言葉を聞く力が養われ、その質問に対して考え答えることで会話が成立していきます。
言葉は使われてはいませんが大人の質問を聞き理解しているからこそ起こる行動であり初めての会話になります。大人との会話がこんなに楽しいと思える第一歩となるので「おはなあるね」「どこにあるかな」「〇〇ちゃんどこかな」など指さしで答える事ができるよう会話を作っていきます。


 

 言葉で表す事の出来ない気持ちを読み取り理解していく事は難しい事ではあり、今何を求めているんだろうと疑問になる事も多々あるとは思いますが、泣いたり、指差しをしたりとなんらかの手段を使い子どもは伝えようとしてきます。
 
 そんな子どもからの声なき声に大人が適切なタイミングで言葉で返すことは「愛着行動」と呼ばれ、子どもと大人との心の絆の形成に欠かす事ができません。
 
 手差し指差しに丁寧に応じることにより、子ども達の言葉を豊かにしていく土台づくりとなります。そして、話をする事、会話をする事がこんなに楽しい事なんだと感じれるようにしています。

これからも子ども達の気持ちに寄り添いながら共感し様々な経験を通して言葉のやりとりを楽しんでいきたいと思います。
(文責:保育スタッフ 岸本美菜)


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