環太平洋乳幼児教育学会 in タイ&フィリピン
カテゴリー:研究発表等
保育総合研究会からの派遣で、2016年にタイ(バンコク)、2017年にフィリピン(セブ島)で開催されたPECERA(環太平洋乳幼児教育学会)の国際学会にてポスタープレゼンテーションを行ってきました。
私が所属している保育の全国組織である、保育総合研究会では、5年前から「ドキュメンテーション」をもとに連携・協働の在り方に関しての研究を行っています。その成果を毎年、環太平洋地域(オセアニアを含むアジア地域)の国際学会である、PECERA(環太平洋乳幼児教育学会)にて発表しています。その大役を2016年.2017年と2回にわたり果たしてきました。
ここでは、研究内容ではなく、国際学会の様子やタイ、フィリピンの様子などをお伝えできればと思います。
私はこの学会に参加するまで、東南アジアには行ったことがなかったのですが、印象として街の中心地は予想以上に近代的で一見すると日本の都市部と何ら変わらないような高層ビルや近代的な建物が所狭しと建っています。
しかし、一歩路地に入るとそこは生活の場。多数の人々はこのような場所で暮らしているとのとこです。日本以上に二極化が進んでいるといっても過言ではありません。急激な近代化は庶民の生活にどのような影響を与えているのでしょうか。そんな思いを抱かざるを得ないほど、表と裏の姿には乖離が見られたのでした。
ポスタープレゼンでは、台湾、韓国、オーストラリアなどの国々の大学の先生方が非常に興味を持ってくださりました。ポスターを縮小したA3サイズのチラシも作成し持って行ったのですが、予想していた数はももの数十分でなくなってしまいました。質問も多数いただき、「ドキュメンテーション」に関しての関心の高さが伺えました。
もちろん、外国の方々ばかりではなく日本人の大学の先生方も多数参加されていたので、トラベル英語に毛が生えた程度の私の英語力では専ら、日本人の先生方の質問に対する受け答えをさせていただきました。外国人の先生方の質問には同行した他のこども園の園長先生(アメリカの大学を卒業されている)が対応してくださいました。
発表や講義などのほかにも乳幼児施設見学(スクールビジット)があり、私はタイでは国立の幼児教育施設に、フィリピンでは幼稚園から大学まである総合施設を見学させていただきました。
この学会発表や研究を通じてやはり「可視化」というものはコミュニケーションを行うにおいて、とても大切なことだとつくづく感じました。
相手が起こす行動も、結果としての事実は揺るぎのないものではあるが、人それぞれによって物の見方や感じ方が違うために相手にはこちらが思っている思いや意図がなかなか伝わらないことから、コミュニケーションは思うような結果に結びつかないことが多々あります。そのような中で、言葉や文字だけでなく、写真や実際の活動を通じて意図を「可視化」することは、コミュニケーションの中でとても大切な役割を担っているのではないかと思います。
話は少し横道にそれますが、言葉が通じない国であっても、写真やジェスチャーなどを交えて、相手に意図や目的をわかってもらおうとする。こちらも相手が言葉が通じなくて分かり合うことができない、という前提のもと、コミュニケーションを行うので、何とかわかろうと努力する。そんな「わかりあえない」という前提のもとからコミュニケーションを行うと、コミュニケーショントラブルは少しずつ減ってくるのではないのかな、と海外から帰ってきたと同時にそんな想いがフツフツと湧いてきたのでした。
ちょうどよい機会です。
そんな私もわかってもらって当たり前、などといった分かり合えることが前提の考え方を分かり合えないことが前提のものの考え方に少しずつシフトしていければなと思っています。
(文責:園長 田中 啓昭)